こんにちは、おーです!
クオリティ系ETFとして(わたしの中で個人的に)整理しているETFについて、以前「【比較】クオリティETF DGRW/SCHD/DGRO vs VIG(2021年3月)」として気になる3種類のETFを比較してみました。
(実際には配当成長ETFといったほうが適切なのかもしれませんが、このあたりは各自でご判断ください)
今回は個別比較の第2弾として、「SCHD」と「DGRO」を比較してみます。
(銘柄名をクリックすると、過去に紹介した個別ETFの記事へジャンプします)
この比較記事は初心者のわたしなりの視点で、自分が投資をする際の参考にしたいと思う概要情報を把握するための、ざっくりとした比較です。
【主な内容】
- 各ETFの基本構成と特徴
- 各ETFに関する直近記事(SCHD:比較記事2021/4月、DGRO:2021/3月)と現時点の銘柄変更などに関する状況
- 各ETFのセクター保有割合の比較
- 各ETFの保有上位20銘柄の重複程度、20位までと21位以下のセクター別保有割合などの参考比較
- 保有銘柄重複程度の比較
- パフォーマンス推移の比較
- 分配金、増配率、利回り推移の比較
興味のあるかたはご覧いただけると嬉しいです。
【2021年11月16日追記】
かなりの悲報です、2021年11月15日付けでサクソバンク証券の米国ETF取扱銘柄が大幅に制限されることになり、このような優良、興味深いETF(SCHD、DGROともに)はサクソバンク証券では購入できなくなりました。
関連記事のご紹介【2022年2月20日追記】
記事の概要/投稿時期 | 件名(クリックで記事へジャンプ) |
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更新情報/2022年2月 | 【更新】SCHD(Schwab 米国配当株式ETF)2021年実績など |
【比較】クオリティETF SCHD vs DGRO(2021年6月)
各ETFの基本構成と特徴(概要)
ETFの基本構成や特徴はすでに記事化していますので、簡単なご紹介とさせていただきます。
各ETFの基本構成

引用元:純資産総額、直近株価yahoo! finance USA
その他情報引用元:各ETF運用会社のホームページ情報など
純資産総額は1$=100円として換算
配当利回りは直近株価と年間分配金実績をもとに弊ブログで算出
これらのETFは日本国内大手証券会社で簡単に購入できないのが残念なところです。
各ETFの特徴

どちらも配当成長にも期待できる(=クオリティを重視した質の高い投資先を選定している)特徴を有していると思います。
保有銘柄にはそれぞれ、特徴があります。
【参考】各ETF紹介時からの銘柄変更などの状況
今回比較する各ETFはSCHDとDGROともに2021/3月に紹介させていただきました。
まだ数ヶ月程度ですが、現時点で銘柄の保有状況やセクター構成に変化があるかをざっくり比較しておきます(表は左欄が最新の構成状況です)。
SCHDの状況
SCHDの直近は2021年4月にVYMと比較した際の構成銘柄を基準に内容を確認していこうと思います。

着色部は、順位変動があった銘柄となります。
すべての銘柄を確認してはいませんが、上位陣の構成をみる限りではこの短期間では、保有割合の変更のみで銘柄入れ替えは確認できませんでした。
IBMが1位になっているのも非常に特徴的な銘柄構成に思えます。
各銘柄保有割合が増減したことにより、セクター保有割合の上位構成も変更されています。
情報技術セクターと金融が同率1位(情報技術が約7%大幅に増加、金融が約4.9%減少)となり、ヘルスケアも約8.6%の大幅増加(生活必需品、資本財セクターが減少)など、上位陣の構成に変更があることが確認できます。

DGROの状況
DGROは2021/3月との比較です。
大多数が着色されていますが、保有割合が変わったことによる順位変動を示すものです。
こちらも上位陣の構成を見た限り、保有割合の変更のみでしたので、構成銘柄の除外などのとくに目立った変更はないと判断しました。
3月時点で17位だったCMCSA=コムキャストは6月時点では21位に後退していました(代わりにAMGN=アムジェンが18位にランクイン)。

DGROは全体に偏りが解消(平準化)されているようにも見受けられます。
1位の金融が減少し2位に後退、2位だった情報技術セクターが1位に上昇などが確認できます。
大きな変動で言えば金融の割合が約2%減少、ヘルスケア約1.8%上昇、その他では生活必需品の割合増加も確認できます。

ざっくり、数ヶ月の変動状況を上記にまとめておきました。
SCHDは短期間でそれなりに大きめな保有割合の変更が確認できました。
次からは2021/6月時点の状況を比較していきます。
各ETFのセクター保有割合
ここからは2021/6月時点の状況を比較していきます。
各ETFの全体を俯瞰しての保有割合を比較してみた結果は、以下のとおりです。
今回も今までの比較記事と同様、3種類で趣向を変えて掲載しています。
- 棒グラフでの比較
- 円グラフでの比較
- レーダーチャートでの比較
いずれかの見やすい表示で確認いただければと思います。
注:セクターの並びはすべて左のETF(今回は左にDGRWを配置していますので、DGRWの構成順位)に沿って上位セクターから順に並べています。
①円グラフでの比較

②棒グラフでの比較

③レーダーチャートでの比較

ざっくり大きめな相違点だけを確認すると、
- 生活必需品:SCHD>DGRO 差約5.2%
- ヘルスケア:DGRO>SCHD 差約5.3%
- 公益事業はDGROのみ保有あり
2021/6月時点の保有割合をみると思った以上にSCHDとDGROの保有セクターが類似していると感じます(SCHDの保有割合変更により、類似傾向にシフトした)。
現在の情勢を踏まえ、類似ETFとして特徴が似てくるものでしょうか。
保有銘柄上位1〜20位の重複、全体の重複程度、保有セクターの割合などの比較
続いて、上位構成銘柄の比較と、上位構成銘柄を基準とした、全体の保有割合などとの比較をしてみたい思います。
保有銘柄上位1〜20位の構成(重複)の比較
上位1〜20位までの銘柄について、重複の程度を比較してみました。

逆に上位20位までの銘柄で、ETF間で重複のなかった(ETFの思想上、いずれかのETFにしか計上されなかった)銘柄は以下のとおりです。
これらの銘柄は、各ETFの21位以下でも銘柄重複は確認できませんでした。

- DGROは成長著しいMicrosoftやApple、PGやJNJなど多数の代表的な成長銘柄も含んでいるのに対し、SCHDではそれらの銘柄は含まれていない
- SCHDは特徴的な銘柄を選定しているとも言える
【参考】上位20位までの銘柄が所属するセクター割合(弊ブログ独自集計)
これは上位20位までの銘柄が所属するセクターを、弊ブログ独自に集計した表となります。
注:この表のセクター分類は、先程紹介したETF全体のセクター構成割合と、整合を保証するものではありません。
上位銘柄がどのような構成・セクター分類かをざっくり把握するための、あくまで個人的な参考集計という位置づけであることを、ご了承お願いします。

上位20銘柄が全体に占める割合はSCHD約69%、DGRO約41%です。
SCHDは104銘柄と少数精鋭、DGROは3倍以上の銘柄を保有しています。
上位陣の保有セクターをみるとSCHDはエネルギーを除いて幅広めに網羅しています。
DGROとの大きな差は「資本財」がDGROの上位陣に含まれていない点でしょうか。
【参考】21位以下の銘柄が所属するセクター割合(弊ブログ独自集計)
上記、上位20位までのセクター保有割合(弊ブログ独自に集計した分類)をもとにして、『ETF全体の各セクター保有割合ー上位20位までのセクター保有割合』により、21位以下の保有割合を参考に算出、比較してみました。
注:この表のセクター分類は、上記同様、先程紹介したETF全体のセクター構成割合と、整合を保証するものではありませんので、ご注意ください。

【参考】SCHDの上位20位までと21位以下の銘柄が所属するセクター割合(弊ブログ独自集計)
SCHD内で「上位20位まで」と「21位以下」で横並びに記載してみました。
注:この表も弊ブログで独自に分類、参考集計したものです。正確性を保証するものではありませんので、参考程度にご覧ください。

- 情報技術、ヘルスケアは上位20位までの構成銘柄で保有割合の大多数を占めている
- IBM、TXN、CSCO、AVGO、ADPの5銘柄がSCHDの情報技術セクターのほぼ大多数
- PFE、AMGN、MRKでヘルスケアのほぼ大多数
- 資本財、生活必需品も上位20位の占める割合が多め
- 21位以下では金融が約45%程度を占める
- 公益事業、不動産は含まない
【参考】DGROの上位20位までと21位以下の銘柄が所属するセクター割合(弊ブログ独自集計)
続いては、DGRO内で「上位20位まで」と「21位以下」で横並びに記載してみました。
注:DGRW同様、参考集計です。正確性を保証するものではありませんので、参考程度にご覧ください。

- DGROは上位20位までの占める割合が多い「情報技術」「ヘルスケア」「金融」が21位以下にでも保有されている⇒上位、下位銘柄で分散されている
- 「資本財」はSCHDと異なり、21位以下に集中している
- SCHDより保有銘柄も多いことから、21位以下の各セクターは平準に見受けられる(ただし、エネルギー、不動産は含まれない)
ETF全体の保有銘柄、重量の重複
銘柄比較の最後に、ETFごと(全体)の保有銘柄、重量などの重複程度を確認してみます。
以下、引用元はFund Overlap(etfrc.com)です。

SCHD vs DGRO
- 銘柄の重複数は51銘柄
- SCHDの保有銘柄104銘柄に対し、51.5%重複
- DGROの保有銘柄390銘柄に対し、13.1%重複
- 重量(ウェイト)の重複は27%
- 重量の重複は低めにみえるがSCHDの約半数はDGROと重複している結果からも両方のETFを保有する必要性は低そう
パフォーマンス推移の比較
トータルリターン推移の比較(DGRO設定日:2014/6/10以降)
今回はDGROの設定日(2014/6/10)以降の推移を比較します。
ETFreplay.comから引用させていただきました。
注:2021/6/26追記 参考にベンチマークとしてのVOOを追加

トータルリターン | VOO(151.6%) > SCHD(145.7%) > DGRO(140.6%) |
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ボラティリティ | VOO(17.9%) > DGRO(17.6%) > SCHD(17.3%) |
ドローダウン | DGRO(-35.1%) > VOO(-34.0%) > SCHD(-33.4%) |
2021/6/26時点、DGROと比較してSCHDが5.1%トータルリターンが高く、ボラティリティやドローダウンも低い結果となりました。
ただし、DGROがコロナショック以前は優勢に推移していることも確認できますので、DGROの推移も非常に目をひくものがあります。
このようなことからも現在の相場は(バリュー寄りと考えれば)、SCHDの保有銘柄に優勢な時期であることも、現時点の最終トータルリターンが勝っている要因とも考えられます。
特徴的な保有銘柄の差であったり、セクター構成割合などの状況により今後も優劣が逆転していくことが予想されます。
現時点ではリターンが拮抗しているように感じますので、もう少し長い目で注目していきたいETFではないかと思います。
個人的にはSCHDはVYM並みの高配当でありながら、VOOと拮抗する株価成長も見込めることを踏まえると、要注目のETFと考えています。
年間トータルリターン推移の比較(2012〜2020年以降)
ここから、ベンチマークとしてVOOを追加して参考に比較します。
SCHDの設定が2011年のため2012年以降(DGROは設定が2014年のため2015年以降)から年間トータルリターンが計算されています。
(引用元:yahoo! finance USA)

- 年単位でみてもリターンは年によって抜きつ抜かれつ、全体を通じて見ると拮抗している印象
- 2018年は保有銘柄の差がドローダウンに現れている印象
- SCHDはApple、Microsoftなどの時代を彩る成長企業を筆頭銘柄などに含んでいないが、リターンが拮抗している点は非常に興味深い
期間別リターン推移の比較
年初来などのリターンも比較しておきます。
(引用元:yahoo! finance USA)

- 2021/6月時点ではSCHD保有銘柄に優勢な相場環境が影響しているように見受けられる
- 3年、5年でみると拮抗しているが、若干SCHDが優勢にみえる
- 保有銘柄の特徴が異なる点からも一進一退の進展が予想されるため、今後のパフォーマンスにも要注目
分配金、増配率、分配利回りの推移
年間分配金($:税引前)実績の比較
SCHD2012年、DGRO2014年以降の分配金実績を比較しています。
注:弊ブログで定例分配と判断した分配金のみを集計して作成した表となりますので、ご注意ください(不定期に出されているとこちらで判断した分配金を除外しています)。弊ブログ独自の集計であることをご了承お願いします。

参考にトレンドラインも記載していますが、集計実績をもとにした”あくまでただの参考傾向”です、ご注意ください(以降、同様です)。
- ともに右肩上がりの分配金成長が確認できる(いずれのETFも現時点で減配の実績なし)
- トレンドラインで見ると(ただの実績をもとにした参考傾向ではあるが)両ETFとも同程度の角度で上昇(=分配金が成長)しているようにみえる
1年増配率(%)推移の比較
上記の分配金実績をもとに算出した1年増配率の比較です。
トレンドラインは、集計実績をもとにした”あくまでただの参考傾向”です。

- いずれのETFも減配実績がなく、毎年増配を繰り返している(5%以上の増配を繰り返し、直近では10%以上を3年キープ)
- トレンドラインで見ると(ただの実績をもとにした参考傾向ではあるが)DGROの伸びが大きくみえる
- 長期で安定した増配に期待できそうなETFといえる
3年&5年増配率(%)推移の比較
上記の分配金実績をもとに算出した3年と5年増配率の比較です(10年はまだ未達)。


- 3年、5年スパンでみても(SCHDは10%程度をキープ)増配傾向が継続しているため今後の推移にも期待したい
(途中経過)2021年 vs 2020年 増配率(%)と分配金実績($)
2021年半ばではありますが、2020年との比較です。

- DGROは3/6月いずれも増配(下期2回分の推移にも期待)
- SCHDは3月に+13.7%程度の増配をしており、6月の単回においても増配を期待したい⇒2021/6/25追記 3月以上の約22%の大幅増配となった
分配利回りと株価 2012年3月〜2021年6月
最後になりましたが、それぞれのETF設定以降の分配利回りと株価の推移を表示しておきます。

- SCHD分配利回りは2.5%〜3.0%程度(記事作成2021/6/18時点株価で2.82%)
- DGRO分配利回りはざっくり2.0〜2.5%程度(同時点で2.16%)
個人的な感想

いずれのETFも将来が楽しみで有望なETFであるように見受けられます。
今回、SCHD保有銘柄の割合が変動し、セクター構成などが思ったより変わっていたことから、現時点で両ETFの保有セクターなどに特徴的な差がなくなっている印象を受けました。
ですが、保有している銘柄にはそれぞれの思想を踏まえた特徴的な差があります。
DGROは成長性の高い銘柄も多く保有している印象ですので、設定来の相場が成長銘柄よりであったことなどから、パフォーマンス推移をみてもSCHDに勝っている時期が長く、増配を繰り返しており将来性も含め期待ができるETFだと思います。
SCHDは隆盛の成長銘柄といえるMicrosoftなど多数の成長銘柄を含んでいないのにも関わらず、現在の相場においてはDGROに勝るパフォーマンスを示している点も興味深いです。
また、分配利回りからみても、SCHDはVYMより若干下回る程度の分配利回りを有しながら、さらにはキャピタルゲインも狙える点、高い増配率を維持している点も魅力的に思いますし、SCHDのような(バリュー寄りとわたしは評価している)のETFを持っておくのも一案かと個人的に思っています。
両ETFともに、VOOと競い合えるような株価の成長性も備えつつ、配当成長にも期待ができるETFです。
高配当ETFとは異なる視点で要注目のETFだと個人的には考えていますが、皆様の評価はいかがでしょうか。
(個人的には高配当ETFも好みではあるが、こちらのほうに大注目している)
このような低コストで将来性のある、優良なETFが日本国内の大手証券会社でも(特定口座を活用して手軽で簡単に)購入できる日が来てくれないかと思っていますが、どうでしょうか。
幸い、ひと手間(心理的には結構な面倒臭さの)ハードルはありますが、サクソバンク証券などを活用すれば購入はできます。
もうしばらく個別比較をしつつ思案したいと思います。
この記事がなにかの参考になれば幸いです。
それではまたっ!!