こんにちは、おーです!
ETFに関する記事の紹介を開始した最近になって存在を認識し、個人的に注目しているクオリティETF(と私は解釈)のSCHDと、高配当ETFとして安定感のあるVYM。
各ETFの紹介記事を作る際、分配利回りに思ったほど差がなかったこともあり、SCHDとVYMを比較してみたらどうなんだろうか?という個人的な興味から、参考比較してみることにしました。
いつもの通り、この比較記事は初心者のわたしなりの視点で、自分が投資をする際の参考にしたいと思う概要情報を把握するための、ざっくりとした比較です。
【主な内容】
- 各ETFの保有上位20銘柄の重複程度、セクター保有割合の比較
- 保有銘柄重複程度の比較
- パフォーマンス推移の比較
- 分配金、増配率、利回り推移の比較
興味のあるかたはご覧いただけると嬉しいです。
【2021年11月16日追記】
かなりの悲報です、2021年11月15日付けでサクソバンク証券の米国ETF取扱銘柄が大幅に制限されることになり、このような優良、興味深いETF(SCHD)はサクソバンク証券では購入できなくなりました。
関連記事のご紹介【2022年2月20日追記】
記事の概要/投稿時期 | 件名(クリックで記事へジャンプ) |
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更新情報/2022年2月 | 【更新】SCHD(Schwab 米国配当株式ETF)2021年実績など |
更新情報/2022年2月 | 【更新】VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)2021年実績など |
基本構成(ETFの概要)
ETFの基本構成(ETFの概要)はすでにご存知のかたが多いと思いますので、一覧表でまとめる程度とさせていただきます。
注:数値に関する情報は2021/4/13調査時点(株価、分配利回りは2021/4/14終値時点)の内容に基づき記載
引用元:純資産総額、直近株価および配当利回りyahoo! finance USA
その他情報引用元:各ETF運用会社のホームページ情報など
純資産総額は1$=100円として換算
VYMの基本構成
銘柄名 | VYM |
名称 | Vanguard High Dividend Yield ETF (バンガード・米国高配当株式ETF) |
ベンチマーク | FTSE High Dividend Yield Index (FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス) |
設定日 | 2006/11/10 |
純資産総額 | 45.42B(約4.5兆円) |
投資銘柄数 | 411 |
経費率 | 0.06% |
算出方法 | 時価総額加重平均 |
分配金 | 年4回(3/6/9/12月) |
運用会社 | バンガード |
直近株価 $ | 102.53 |
配当利回り % | 2.98 |
購入のしやすさ | ◯ 国内大手証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)で購入可能 |
【VYMの特徴】
- 大型株の中でも予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を重点的に組入れ
- 時価総額加重平均を採用
- REITは除外されている
- リバランスは年1回
- 比較する高配当ETFの中では銘柄数が411銘柄と群を抜いて多い
- 運用開始から14年を超える長期の運用実績がある
- 低コスト
SCHDの基本構成
銘柄名 | SCHD |
名称 | Schwab US Dividend Equity ETF (シュワブ 米国配当株式ETF) |
ベンチマーク | Dow Jones U.S. Dividend 100 Index (ダウジョーンズ米国配当100指数) |
設定日 | 2011/10/20 |
純資産総額 | 21.26B (約2.1兆円) |
投資銘柄数 | 104 |
経費率 | 0.06% |
算出方法 | 時価総額加重 |
分配金 | 分配金あり、年4回(3/6/9/12月) |
運用会社 | チャールズ・シュワブ(Charles Schwab) |
直近株価 $ | 74.23 |
配当利回り % | 2.87 |
購入のしやすさ | △ サクソバンク証券などで購入可能(一般口座のみ、2021/4月現在) |
【SCHDの特徴】
- 配当支払いの実績を持つ米国高配当株のパフォーマンスを測定し、財務比率に基づいて同業他社と比較しつつ、質の高い利回りを重視する銘柄を選定
- 10年連続での配当支払い実績があること
- 配当成長率を総合スコア付けし、上位100銘柄で構成
- 「キャッシュフロー対有利子負債比率」、「ROE:自己資本利益率」、「配当利回り」、「5年間の配当成長率」などを重視
- 配当利回りで加重
- REITは含まれない
- 運用開始から9年を超えたETF(2021年10月で10年)
- 低コスト
保有銘柄上位1〜20位の重複程度の確認
【参考】上位20位までの保有銘柄と銘柄の重複
各ETF上位陣の顔ぶれを比較してみたいと思います。
なお、2021年4月13日調査時点の結果ですが(銘柄情報は各ETFのホームページから引用していますが)VYM:2021/2/28時点、SCHD:2021/4/12時点と異なっています。
以下の表は各ETFの保有上位20銘柄を「ティッカー」、「構成比率」、「弊ブログなりの集計によるセクター」を分類しています。
個別の企業名などのご紹介は割愛しますが、それぞれのETFで保有している上位銘柄にどの程度の重複があるのかを着色し、比較してみたものです。

着色銘柄数(=上位20位以内での重複銘柄数)は8銘柄となりました。
着色した銘柄でもVYMはトップ20中の下位に位置している銘柄が多く、SCHDはトップ10上位に位置している銘柄が多いと、それぞれ保有割合が異なっています。
逆に、上記の各ETF内で20銘柄を比較した場合の重複しなかった銘柄は以下のとおりです(上位20位以内で重複がなかったというだけで、上位20位以下として低い保有割合で重複している可能性がゼロではありませんので、あくまで参考です)。

【参考:独自集計】保有銘柄上位20位までのセクター別保有割合のイメージ
これまた参考ですが、上位20銘柄を弊ブログなりの(上記表でも掲載しているセクター分類を利用して)集計してみたのが以下の棒グラフ比較です。
注:この表のセクター分類は、後でご紹介するETF全体のセクター構成割合と、整合しているものではありません(上位銘柄がどのような構成・セクター分類かを、ざっくり把握するための、あくまで個人的な参考集計という位置づけであることを、ご了承お願いします)

上位20位の銘柄、セクターを見た印象
- VYMは上位20位で保有しているセクターに偏りなどなく、ある程度横並びの印象
- SCHDは情報技術が多め、資本財、ヘルスケア、生活必需品なども2桁割合と多め
- SCHDの特筆はVYMが上位で保有していない資本財が目立つ
- (円グラフを見て)VYMは分散が効いており、上位20位の保有割合はSCHDに比べ少ない
- SCHDは逆に上位20位までの保有割合が70%と偏りはある
- 上位20位で8銘柄重複は上位だけを見るとそこまで多くない印象
- SCHDのトップ保有はHD(ホーム・デポ)など銘柄選定も印象的
ETF全体の重複程度、保有セクターの割合
続いて、各ETFのホームページなどから調査したETF全体の保有に関する情報を比較してみたいと思います。
ETF全体の保有銘柄、重量の重複
続いて、ETFごと(全体)の保有銘柄、重量などの重複程度を確認してみます。
引用元はFund Overlap(etfrc.com)、2021年4月13日に調査した時点の結果です。

VYM vs SCHD 保有銘柄全体
- 86銘柄が重複していた
- 双方の重複する保有銘柄がVYM全体(412銘柄)に占める割合は20.9%
- SCHD全体(104銘柄)に占める割合は86.0%
- 重量(ウェイト)の重複は28%
上位20位では重複が多くないという印象でしたが、全体を比較すると思った以上に重複していました。
言い換えると、それだけVYMは保有銘柄も多く、より分散が効いている(網羅的)とも言える結果だとも思います。
セクターの割合
各ETFの全体を俯瞰しての保有割合を比較してみた結果は、以下のとおりです(2021/4/13調査時点)。
引用元は各ETFホームページですが、それぞれ掲載情報はVYM:2021/2/28、SCHD:2021/4/12と異なります。
今回も3種類の比較パターンで趣向を変えて掲載しています。
- 棒グラフでの比較
- 円グラフでの比較
- レーダーチャートでの比較
いずれかの見やすい表示で確認いただければと思います。
①棒グラフでの比較

②円グラフでの比較

③レーダーチャートでの比較

- ETF全体で見るとセクターの偏り傾向はおおまかに似ている印象
- 双方の保有割合が多めなセクター:金融、生活必需品、資本財、情報技術
- 双方の保有割合が少なめなセクター:通信サービス、エネルギー、一般消費財、素材
- VYMのみが保有するセクター:公益事業
- 双方の差が大きいセクター:ヘルスケア
- 双方が保有しないセクター:不動産
SCHDから見ると保有銘柄の重複が多いこともあり、セクターの保有割合は結構、似通っていると言えそうです。
他の高配当ETF(HDV、SPYD)と比較した時にも感じましたが、こうやって見てみるとVYMは平均的に満遍なく網羅していることがよく分かります。
後ほど、トータルリターン推移なども比較しますが、直近(2021年の年初来)のリターンを見ると、途中まで双方のリターンは競っていましたが、2021年4月現在はSCHDのトータルリターンが若干優れている結果となっています。
パフォーマンス推移
年間トータルリターン推移 2012〜2020年
SCHD運用開始後からの期間について表示しています(2021/4/12調査時点)。

- SCHDはVOOと競うようなパフォーマンスを出している期間が多い
- リターンがマイナスの2018年はVYMよりSCHDのほうがリターンは若干よかった(SCHDのほうが下落耐性がありそう)
- 年単位で区切った比較ではVYMが1%以上優れている年もある
いろいろな期間でのトータルリターン推移の比較
今回はSCHD設定以降が最長の比較可能期間です。
3種類の期間でパフォーマンスを比較してみます。
いずれもETFreplay.comから引用させていただきました。
VOOはあくまで市場平均との比較という位置づけでの表示です。
①SCHD設定以降(2011/10/20〜2021/4/13)

トータルリターン | VOO(312.4%) > SCHD(283.0%) > VYM(220.5%) |
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ボラティリティ | VOO(16.9%) > SCHD(16.0%) > VYM(15.9%) |
ドローダウン | VYM(-35.2%) > VOO(-34.0%) > SCHD(-33.4%) |
トータルリターンの高い裏返しにボラティリティが高いといえばそうかもしれませんが、トータルリターンでSCHDとVYMには62.5%も差がある割に、ボラティリティは0.1%しか違いません。
ドローダウンはSCHDが一番下がりにくい(下落耐性が高い)という結果となりました。
過去にもクオリティETFを横並びに比較してみましたが、クオリティETFは全般的にドローダウンが市場平均よりも良い(下落耐性が高い)ETFが多い印象です。
逆に高配当ETFは市場平均よりも下がる傾向にあります。
SCHD設定以降で見るとリターンの差も顕著ですが、ドローダウンについても特徴的な差とも言えそうです。
②過去3年(2018/4/11〜2021/4/13)

トータルリターン | SCHD(67.3%) > VOO(65.7%) > VYM(36.2%) |
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ボラティリティ | VOO(23.0%) > SCHD(22.6%) > VYM(22.1%) |
ドローダウン | VYM(-35.2%) > VOO(-34.0%) > SCHD(-33.4%) |
2020年の第4Qごろから、SCHDの上昇が顕著に見えますので、SCHDの保有割合が多いセクターに対する注目度が高まってきていることなどが推定され、直近3年ではVOOをSCHDが逆転しています。
③2021年 年初来(2020/12/31〜2021/4/13)

トータルリターン | SCHD(16.3%) > VYM(12.3%) > VOO(10.8%) |
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ボラティリティ | SCHD(16.0%) > VOO(15.1%) > VYM(14.3%) |
ドローダウン | VYM(-4.9%) > SCHD(-4.7%) > VOO(-4.1%) |
長期金利上昇の恩恵を受けるであろう金融セクターの保有割合が大きいなど、直近はSCHDのセクター構成に優位な状態となっており、SCHDのパフォーマンスが優れていることと推定されます。
VYMもVOOをアウトパフォームしており、バリュー銘柄への注目度が高いことが伺えます。
- SCHD運用開始以降、2021年4月までのトータルリターンではVYMをアウトパフォームしている
- 切り取る期間によってはSCHDがVOOをアウトパフォームしている時期もあり、2021年以降のセクターローテーションなどを踏まえた、今後の推移も注目していきたい
- ここ数年、株価が軟調だったVYMもグングン株価が上昇しており、今後の推移が楽しみ
分配金、増配率、分配利回りの推移
SCHD設定以降の定例分配金が出され始めた2012年から比較しています。
分配金の推移 2012年〜2020年

比較した2012年以降、どちらのETFも増配を繰り返していますので、きれいで理想的な右肩あがりを描いています。
毎回の増配率推移 2013年〜2020年
参考に2012年〜2020年に払い出される年4回の分配金をもとに、2013年以降の増配率を前年同月、年単位で比較してみました。
赤字は減配だった月、黄色で着色した部分は年間で減配となった年を示しています。

1年増配率の推移 2013年〜2020年
上記の表(年4回の分配金に対する増配率の表)から、1年増配率だけを抜粋し、表とグラフにしたものです。

- どちらも期間中、数回の減配はあったが、年単位での減配実績はなく増配を繰り返している
- SCHDは直近2年の増配率が非常に高く推移しており、少しずつVYMに近づいていくのか楽しみ
- VYMも毎年増配を繰り返しており、今後の分配金成長も期待できる
- いずれのETFも今後の推移が楽しみなETFといえる
分配利回りの推移
SCHD設定以降の推移を表示しておきます。
SCHDはVYMの分配利回りより若干低く推移してきていることが分かります。

ざっくりとした感覚でのまとめですが、以下のようなイメージに捉えています。
注:( )内の直近分配利回りは、直近4回の分配金と2021/4/14終値の株価より弊ブログで算出した値を表示しています、参考程度にお考えください。
- VYM分配利回りは2.7%〜3.0%程度(記事作成2021/4/14時点株価で2.93%)
- SCHD分配利回りは2.5〜3.0%程度(同時点で2.81%)
個人的な感想

SCHDの保有銘柄は個人的には予想以上にVYMと重複していましたが、VYMの分散が優れていたためと考えています。
逆に、そのような重複がある状態でも、トータルリターンはSCHDが優勢な結果となりました。
言い換えると分散の度合いが違うことで、よく言えば万遍ないのですが、悪く言えばある程度リターンを分散させ、抑制してしまう結果だったとも言えるのかもしれません。
また、分配金という観点でみると、現時点でSCHDは分配金額がVYMに負けていますが、今後もVYMより高い増配率が期待できるのなら、そのうち追いつくことも考えられるかもしれません。
(逆にVYMも負けず劣らず増配を繰り返し、今後も優位に立ち続けるかもしれません)
いずれにしても優良ETFのVYMと同程度の利回りを維持しつつ、かつVOOよりは若干劣っていましたが、高いトータルリターンも期待できるSCHDも注目に値するETFではないかと考えます。
経費率も低コストで、長期運用に最適なETFだろうと個人的には考えていますので、今後も定期的にウォッチしていきたい要注目のETFです。
チャールズ・シュワブは日本では馴染みがありませんが、バンガードと並び低コストで優良なETFを運用している投資会社だと思いますので、今後も色々なETFを調べてみたいと思っています。
最後になりましたが、色々なETFを比較してみて、最近、原点に立ち帰る別の感想も持ちはじめました。
身も蓋もありませんが、市場平均ってやっぱり凄いなという感想です(笑)
何も考えずに、淡々と積み立てれば(市場変動リスクだけを考慮すればすむし)、市場平均のトータルリターンが得られるという優れた資産だなぁと改めて考えさせられます。
何も考えずにVTIのみというのも、今更ながら悪くない(というか本来はそのほうが好ましい)んだろうなとしみじみ思う自分もいます。
といいつつ、ETFが好きで色々なETFに興味もありますので、気になるETFを保有してみたい自分もいます。
何事もやってみて(さまざまなETFを自分なりに購入してみて)、思ったことからまた改善を図っていく取り組みも継続していくつもりです。
この記事がなにかの参考になれば幸いです。
それではまたっ!!