こんにちは、おーです!
本日は米国ETFのSPDR S&P 米国高配当株式ETF【SDY】について、ざっくりご紹介させていただきます。
関連記事のご紹介【2022年1月29日追記】
記事の概要/投稿時期 | 件名(クリックで記事へジャンプ) |
---|---|
更新情報/2022年1月 | 【更新】SDY(SPDR S&P 米国高配当株式ETF)2021年実績など |
比較/2021年3月 | 【比較】連続増配ETF VIG/SDY/NOBL(2021年3月) |
紹介/2021年2月 | 【SDY】SPDR S&P 米国高配当株式ETFのご紹介!(本記事) |
【SDY】SPDR S&P 米国高配当株式ETFのご紹介!
【SDY】SPDR S&P 米国高配当株式ETFとは
SDYは2005年に設定、アメリカに上場された、運用開始から約15年が経過した売買ランキング第56位に位置するETFです。
(ランキングは2020年12月現在)
ティッカーシンボル | SDY |
名称 | SPDR S&P Dividend ETF (SPDR S&P 米国高配当株式ETF) |
ベンチマーク | S&P High Yield Dividend Aristocrats Index (S&P ハイ・イールド・ディビデンド・アリストクラッツ インデックス) |
設定日 | 2005/11/8 |
ETF純資産総額 | 約1.8兆円 |
取引所 | NYSE Arca |
投資地域 | 米国 |
投資銘柄数 | 118 注1 |
経費率(年率) | 0.35% |
ETF売買ランキング | 第56位 注2 |
算出方法 | 配当利回加重平均 |
分配金など | 分配金あり、年4回(3/6/9/12月) |
運用会社 | ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA) |
注1:銘柄数データは2021年1月28日時点
注2:ランキングは2020年12月末時点
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)は、世界で3番目に大きな資産運用会社です(1位はブラックロック、2位はバンガード)。
1993年にはじめてETF(上場投資信託)を導入、現在でも米国人気No.1の取引実績を誇るS&P500連動ETF【SPY】の運用会社として、ご存知のかたも多いのではないでしょうか。
連動指数S&P ハイ・イールド・ディビデンド・アリストクラッツ インデックスとは
S&P ハイ・イールド・ディビデンド・アリストクラッツ インデックス(=S&P高配当貴族指数)は、S&Pコンポジット1500指数の構成銘柄のうち、20年以上連続して増配方針に従っている企業のパフォーマンスを測定するよう設計され、経費控除前で連動する投資成果を上げることを目標に運用されています。
20年以上にわたる連続増配を実現する銘柄は、単純に配当利回りが高い銘柄とは異なり、配当収入とともに株価の成長を期待することができるという思想のもと、選定されています。
・S&Pコンポジット1500指数の構成銘柄のうち、過去20年以上連続して増配を続けている高配当利回り銘柄から構成
・現在、浮動株調整時価総額(FMC)が20億米ドル以上であること。リバランス基準日(現在の構成要素 15 億米ドル)
・リバランス基準日(現在の構成銘柄は400万米ドル)より前の3カ月間の1日平均取引額(ADVT)が500万米ドル以上
・各銘柄の構成比率は予想配当利回りを基準(年間の配当利回りを加重平均して算出)とし、四半期毎に調整される
・指数構成銘柄の見直しは年1回(1月)、12月最後の取引日を基準に行う
・リバランスは1月、4月、7月および10月の各最終営業日の終値をもってウェイト調整が実施される
・四半期ごとのリバランスでは、表示された年間配当利回りに基づいて銘柄を加重
・配当金を支払う企業が定期的に宣言した現金配当のみを考慮
・配当金の開始または再開始は、増配にはカウントされない
・銘柄のウェイトが4%を超えないよう考慮(4%を超えた部分は他の銘柄に再配分、その銘柄のなかで4%を超えたら、さらに他の銘柄で再配分を繰り返す) など
参考にSDYが連動する指数のメソドロジーなどが閲覧できるリンク先を貼っておきますので興味のあるかたはご覧ください。
(外部リンク)S&P高配当貴族指数(S&P Dow Jones Indices)
チャート
SDYの日足チャートです、記事作成時(2021年2月上旬)の株価は約107$程度で推移しています。
パフォーマンス
ステート・ストリートの当該ETF概要ページから抜粋しました(2020年12月31日現在)
ファンド・パフォーマンス (単位%) 税引前
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 設定来 | |
基準価額 | 1.81 | 6.91 | 11.21 | 11.55 | 8.77 |
市場価格 | 1.81 | 6.88 | 11.20 | 11.54 | 8.76 |
ベンチマーク | 2.06 | 7.25 | 11.61 | 11.98 | 9.08 |
ファンド・パフォーマンス (単位%) 米国税引後
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 設定来 | |
米国分配金課税後 | 0.43 | 5.97 | 10.13 | 10.40 | 7.75 |
米国分配金、売買益課税後 | 0.04 | 5.03 | 8.57 | 9.16 | 6.96 |
ベンチマーク | 2.06 | 7.25 | 11.61 | 11.98 | 9.08 |
(参考)他ETFとのパフォーマンス比較
SDYの設定日(2005年11月8日)ごろを基準に、類似するETFがないかと考えたのですが、今ひとつ思いつかなかったので、数種類で比較してみました。
①はSDY設定日以降、②と③は比較対象ETFの設定日以降の結果(~2021年1月29日まで)となります。
①ブラックロックのS&P500連動ETFであるIVV(設定日2000年5月15日)との比較
SDYの設定日を起点に2005年11月8日~2021年1月29日の期間に対し、SDYとIVVを比較してみた結果になります。

IVVに対してパフォーマンスのいい時期も見られますが、現時点でのリターンはIVVに劣後している結果となりました。
あとでSDYの保有銘柄は紹介しますが、情報技術セクター全盛のハイテク銘柄たちが上位を牛耳るS&P500とは、そもそもの設計思想が違うのでしょうがない結果でもあるのかと思います。
下のグラフは上記で長期比較しているETF同士の年間トータルリターン推移の状況をまとめたものです。
注:2021年は年途中(掲載2021年9月4日)であることにご注意ください。
(PORTFOLIO VISUALIZERから引用)
SDY,IVV年間トータルリターン 2006-2020年

②バンガードの連続増配ETFであるVIG(設定日2006年4月21日)と①のIVVを加えた比較
VIGの設定日を起点に2006年4月21日~2021年1月29日の期間に対し、SDYとVIGに加え、①のIVVをプラスして比較した結果になります。

VIGとの比較ではイマイチの結果となりました。
VIGは連続増配10年以上などの選定条件で構成されたETFで、まだまだ成長著しい銘柄を多く含んでいることなども考えれば、SDYと比べてより力強いキャピタルゲインが得られていることなども理由なのではと個人的には考えています。
同じく、PORTFOLIO VISUALIZERから引用しています(2021年は年途中:掲載2021年9月4日)。
SDY,IVV,VIG年間トータルリターン 2006-2020年

2021年は途中経過ですがVIGを超える推移をしているのも興味深いですね。
③バンガードの高配当ETFであるVYMと(設定日2006年11月10日)と①のIVVを加えた比較
VYMの設定日を起点に2006年11月10日~2021年1月29日の期間に対し、SDYとVYMに加え、①のIVVをプラスして比較した結果になります。

VYM設定日以降の比較においては、VYMを凌駕する結果となっています。
このように考えると、連続増配20年以上の増配実績を持つ銘柄たちというのは、ある程度成熟期に入る企業であったり、高配当銘柄によりの企業が多いとも言えるのではないかと考えます。
VYMと比べるとドローダウン(下落率)が若干勝っているのも特徴的に感じます。
最後にこちらも、PORTFOLIO VISUALIZERから引用した年間トータルリターン推移を掲載しておきます(2021年は年途中:掲載2021年9月4日)。
SDY,IVV,VYM年間トータルリターン 2006-2020年

保有銘柄、セクター構成
いずれもデータは2021/1/28時点となります。
SDYの保有銘柄 上位20社
上位20銘柄が占める割合は約37%(上位10位≒23%、11位~20位≒14%)です。
これらの優良企業が連続増配20年以上などのSDY銘柄選定にかなった企業です。

トップはエクソン・モービル(エネルギーセクター)となっています。
情報技術などが上位を占めるS&P500などとは大きく異なっていることがわかります。
SDYトップ20位に含まれる情報技術セクターからはIBMのみが第10位にランクインしています。
構成比4%を超えた場合、四半期のリバランス調整で4%以下になるよう考慮されるようですので、エクソン・モービルは現時点の割合では対象になるのでしょう。
そのほかには4%を超えるような銘柄は確認できません。
SDYの銘柄保有割合(円グラフ:%)
SDYの保有銘柄割合を円グラフで表示してみました。
118銘柄に対しウェイト4%の選定条件がありますので、大きな偏りはなく配分されていることが確認できます。

SDYのセクター構成割合(円グラフ:%)
景気敏感な「金融」セクターなどが上位を占めていますので、近年のパフォーマンスが悪かったことも納得できるかと思います。


今をときめく情報技術セクターなどは、そもそも成長段階の無配企業や、配当を出しはじめて間がない企業などが多いと想定されることから、現時点で「連続増配20年以上」という高いハードルをクリアできている企業たちはかなり少ないことが想像できます。
景気の動向などにより時代とともにセクターローテーションなどによる巻き返しもあるでしょうし、定期的にウォッチしていきたいと思います。
分配金の推移、増配率の推移
これ以降(グラフ表示も含めて)の分配金に関する表示はすべて米国課税(10%)および日本国内課税(20.315%)控除前の金額になりますので、ご注意ください。
表示されている金額の約71%が手元に入金されるイメージでお考えください。
確定申告で外国税額控除の手続きをすれば、米国課税(10%)部分をある程度、取り戻す事は可能ですが、自身の収入に応じて取り戻せる金額は異なります。
SDY運用開始以降の分配金推移(一覧表)
SDYは3/6/9/12月に分配金を受け取ることができます。
SDY設定以降の定例(四半期)の分配金を一覧表にしたものは以下のとおりです。
注:弊ブログでは、分配金実績から想定される過去の定例支払い分配金とは異なる部分をキャピタルゲイン分配金と判断し、識別・集計しています。
予めご了承をお願いいたします。

SDYでは過去に何度かキャピタルゲイン分配金が支払われています。
キャピタルゲイン分配についてはブログ「ほえタコの豆腐メンタル投資術」を運用されている”ほえタコ”さんの記事から勉強させていただきました。
この場を借りて御礼申し上げます。
(前略)
じつはこれは『Capital Gain Distribution』(キャピタルゲイン分配金)と呼ばれるものです。
通常、ETFの分配金は構成銘柄の配当金がその元となっています。
しかしキャピタルゲイン分配金は、配当ではなくETFの構成の銘柄入れ替えから生ずる「キャピタルゲイン」が特別な分配金として支給されます。
SDYの売買回転率は年間でおよそ20%ほどですから、その際に生じた「キャピタル・ゲイン – キャピタル・ロス」の余剰金が特別分配金として出されているのでしょう。もちろんこの分配金に対しては課税されます。
(後略)
引用元:SDY(SPDR S&P 米国高配当株式ETF)は最強の米国高配当株ETFか?(ほえタコの豆腐メンタル投資術より引用)
ほえタコさんの記事ではさらに詳細にキャピタルゲイン分配金についてご紹介されていますので、興味のあるかたはぜひご覧ください。
おもに2013年~2017年は毎年の実績を確認しましたが、最近は確認されませんでした。
SDYの購入を検討されているかたは、このような分配があったことを情報として知っておく程度でいいと思います。
SDY運用開始以降の分配金推移(毎回受け取り分配金の推移)
株価と分配金(毎回)の推移は以下のとおりです。
①キャピタルゲイン分配を含めた各月の分配金推移グラフ
②キャピタルゲイン分配を含めない各月の分配金推移グラフ
の2種類を掲載させていただきました。
①キャピタルゲイン分配を含めたSDY運用開始以降の分配金推移グラフ(毎回受け取り分配金の推移)

②キャピタルゲイン分配を含めないSDY運用開始以降の分配金推移グラフ(毎回受け取り分配金の推移)

SDY運用開始以降の分配金推移(年間受け取り分配金の推移)
1年間の分配金(年間合計)と、12月時点の株価を用いて表示しています。
注:キャピタルゲイン分配金は含めていません、以降の増配率計算にはこちらの分配金(年間合計)を使用して計算しています。

連続増配というキーワードのイメージから、右肩上がりのグラフを想像していましたが、ちょっと想像と違いました。
ただ、連続増配20年以上の実績を誇る銘柄たちで構成はされていますので、個人的にはこれからも徐々に増え続けていくことは期待できるのではないかと思っています。
SDY運用開始以降の株価と分配利回りの推移
2021/3/16日現在(2021/3/15終値$119.79)と直近4回の分配実績から算出した結果は2.52%程度です。
注1:目安程度にお考えください。
注2:キャピタルゲイン分配金は含めていません。
注3:この分配金利回りは紹介記事作成時点の内容です。最新の参考目安については、下の「増配率と分配金実績、株価と利回り推移 2021年vs2020年」の欄に掲載しています。

SDY運用開始以降の増配率推移(1年、3年、5年、10年、トータル)
SDYの増配率(キャピタルゲイン分配は除外した)を計算した結果、以下のようになりました。
注:私的に計算した値となりますので、正確性を保証するものではありません。数値の妥当性については他サイトと比較していただくなど自身で別途、検証していただくようにお願いします。あくまで参考程度にご覧ください。

参考に年合計の分配金と増配率の推移グラフを下に掲載しておきます。
(視認性をあげるため、分配金初期の桁外れな値は除外していることもあります、ご了承ください)
分配金年合計($)と1年増配率(%)

分配金年合計($)と3年増配率(%)

分配金年合計($)と5年増配率(%)

分配金年合計($)と10年増配率(%)

増配率と分配金実績、株価と利回り推移 2021年vs2020年 (2021年12月分配金後)
2021年と2020年を比較した増配率(%)と、各年の分配金実績を以下に掲載しています。
また、直近株価($)と分配金利回り(%)も参考に掲載しています。
注:とくに分配利回りは、ご自身で他サイトなどを含めて改めてご確認ください(あくまで参考目安程度にお考えください)

個人的な感想

SDYは別記事でご紹介したファンダメンタルズ分析を基準としている”DGRW”や、連続増配10年以上といった銘柄群で構成されている”VIG”とは、また異なる連続増配にフォーカスしたETFでした。
銘柄の内容やセクターなどをみると、VIGやDGRWなどの成長期にある銘柄の多いETFなどとまた趣のことなるETFでした。
現時点で20年以上の連続増配実績を誇っている銘柄群は、やはりどうしても昔ながらの安定的な企業群が多いように見受けられますし、今をときめく情報技術セクターなどがほぼ除外されてしまっているので、現状の相場においては見劣りしてしまう結果なのかもしれません。
ですが今後、市場動向の変動による景気サイクルの循環などによって巻き返しもありえますし、やはり連続増配企業がもたらす安定感などはこれからも信頼に値すると思います。
また、先行きは分かりませんが、これからもテクノロジーの時代が続き、そのうちMicrosoftやさらには10年ちょっと将来にアップルなど?といった時代を彩っている銘柄たちの増配実績が積み上がれば、将来また違った景色も見えてくるかもしれません。
経費率が高め(0.35%)ということもあり、あまり話題にあがっているように見受けられないETFのように思いますが、興味の持てるETFでした。
米国にはいろいろな特徴を持ったETFが数多く、調べて比較してみると面白いです。
この記事がなにかの参考になれば幸いです。
それではまたっ!!