こんにちは、おーです!
本日は米国ETFのiシェアーズ MSCI USA モメンタム ファクターETF【MTUM】について、ざっくりご紹介させていただきます。
2021/12/26追記:2021年12月分の分配金実績を反映
記事の概要/投稿時期 | 件名(クリックで記事へジャンプ) |
---|---|
関連情報/2021年11月 | 【参考】MTUM(iシェアーズ MSCI USA モメンタム ファクターETF)の月間上昇率などを調べてみた |
紹介/2021年10月 | 【MTUM】iシェアーズ MSCI USA モメンタム ファクターETFのご紹介!(本記事) |
【2021年11月16日追記】
かなりの悲報です、2021年11月15日付けでサクソバンク証券の米国ETF取扱銘柄が大幅に制限されることになり、このような優良、興味深いETFはサクソバンク証券では購入できなくなりました。
【MTUM】iシェアーズ MSCI USA モメンタム ファクターETFのご紹介!
【MTUM】iシェアーズ MSCI USA モメンタム ファクターETFとは
MTUMは2013年に設定された比較的新しいETFです。
ティッカーシンボル | MTUM |
名称 | iShares MSCI USA Momentum Factor ETF (iシェアーズ MSCI USA モメンタム ファクターETF) |
ベンチマーク | MSCI USA Momentum SR Variant Index (MSCI USA モメンタム SR バリアント指数) |
設定日 | 2013/4/16 |
ETF純資産総額 | 14.53B(約1.4兆円、1$=100円換算)※ |
投資銘柄数 | 129 |
経費率(年率) | 0.15% |
算出方法 | スコア加重 |
分配金など | 分配金あり、年4回(3/6/9/12月) |
運用会社 | ブラックロック |
注1:ETF純資産総額はyahoo!finance USAより引用
注2:銘柄数、経費率などに関する情報はブラックロックHPから引用(2021/10/10時点)
連動指数MSCI USA モメンタム SR バリアント指数とは
iシェアーズMSCI USA モメンタム ファクターETFは、比較的高い価格モメンタムを示す米国の大資本および中資本の株式で構成されるインデックスの投資結果を追跡しようとしています。
本ETFが連動を目指すMSCI USA モメンタム SR バリアント インデックスは、MSCI USA モメンタム インデックスのパフォーマンスを反映することを目的とし、MSCI MOMENTUM INDEXES METHODOLOGYに基づいて構築、リバランスされています。
- MSCI USAモメンタムインデックスのリバランスは、まず、MSCI USAインデックスの各銘柄について、6ヶ月および12ヶ月の標準化されたリスク調整後のモメンタム値を決定、その結果を標準化
- 標準化された6ヶ月および12ヶ月のリスク調整後のモメンタム値は、次に組み合わされ、再度標準化され、モメンタムスコアを算出
- 最も高いモメンタムスコアを持つ一定数の証券が、MSCI USAモメンタムインデックスに組み入れ
- MSCI USAモメンタムインデックスには、最も高いモメンタムスコアを持つ一定数の証券が組み入れられ、通常、親インデックスの時価総額の約30%をカバー
- 構成銘柄の加重は、そのモメンタムスコアと時価総額の積で計算される
- MSCI USAモメンタムインデックスの構成銘柄の加重には上限がある
- インデックスは半年ごと(5月と11月)にリバランスされるのに加え、市場のボラティリティーが急上昇した場合には、リバランスを行うことがある模様
モメンタムはパフォーマンスの持続、直近の過去において上昇トレンド(場合によっては下落トレンド)にあった資産は、近い将来も上昇トレンド(または下落トレンド)を継続する傾向がある、という特徴があるようです。
チャート
2013年MTUM設定来の”週足”チャートです(青線は200日移動平均線)。
記事作成時の株価は$179.01(2021/10/8終値)です。

リアルタイムのチャートは下でご覧ください。
パフォーマンス
トータル・リターン 年率(単位%)
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 設定来 | |
トータル・リターン | 19.74 | 15.12 | 19.19 | – | 16.95 |
インデックス | 19.92 | 15.39 | 19.45 | – | 17.19 |
2013年の設定来で約17%/年の成長です(データは2021/9/30時点)。
(参考)他ETFとのパフォーマンス比較①
今回は以下のETFと比較してみます。
- VTI(市場平均)
- MOAT(同様な特化ETFとして過去にご紹介したワイドモートETF)
ETFreplay.comから引用させていただきました。
VTI、MOATとの比較推移(2013年MTUM設定以降)

トータルリターン | MTUM(288.7%) > MOAT(260.0%) > VTI(227.1%) |
---|---|
ボラティリティ | MTUM(19.0%) > MOAT(17.2%) > VTI(17.0%) |
ドローダウン | VTI(-35.0%) > MTUM(-34.1%) > MOAT(-33.3%) |
MTUM設定来では、市場平均を上回るパフォーマンス推移を示していることが確認できます。
調整相場はコロナショックしか経験してはいませんが、なかなか興味深い推移ではないかと思います。
ドローダウンはVTIより結果的には抑えられていましたが、モメンタム(勢いのある)銘柄が選考されているMTUMは、いい意味でも、悪い意味でも投資家心理にも多大な影響を受ける部分があるでしょうし、そういった意味からもボラティリティは往々にして高めになるのではないかと個人的には考えます。
VTI、MOATとの比較推移(2021年 年初来)

年初来では変わった景色が確認できます。
いつもパフォーマンスが優れているわけではなく、このように一時的に下振れすることもありえます。
投資をするなら、ボラティリティやドローダウンは高いことなども十分に理解したうえで投資をしたほうが良さそうに考えます。
(参考)他ETFとのパフォーマンス比較②
下のグラフは上記で長期比較しているETF同士の年間トータルリターン推移の状況をまとめたものです。
注:2021年は年途中(掲載2021年10月10日)であることにご注意ください。
(PORTFOLIO VISUALIZERから引用)
MTUM,VTI,MOATリターン推移 2012-2020年

こちらの比較によるとMTUMは、標準偏差も他より小さめ、シャープレシオも高めという興味深い結果も確認できます。
また、下のグラフは上記で長期比較しているETF同士の年間トータルリターン推移の状況をまとめたものです(2021年は途中時点)。
MTUM,VTI,MOAT年間トータルリターン 2012-2020年

いつも市場平均に勝っているわけではありませんが、VTIなどとはまた異なる、特徴的な推移をしているとも見て取れます。
直近パフォーマンスが低めなのも興味をひきますが、今後もたびたび確認していきたいと思います。
【参考】銘柄重複確認 MOAT vs MTUM
特徴的なETF同士の比較として、MOATとMTUMの重複程度に限定して比較した結果を掲載しておきます。
(Fund Overlap(etfrc.com)から引用)

MTUMは約130銘柄、MOATは約50銘柄、それぞれ特徴的な選考基準が設けられているので、銘柄の重複はほぼありませんでしたが、それぞれ市場平均であるVTIを上回るパフォーマンス推移を示していることは非常に興味深いと考えています。
MTUM保有銘柄、セクター構成
保有銘柄に関する情報:2021/10/7時点
セクター構成に関する情報:2021/10/7時点
MTUMの保有銘柄、保有割合(円グラフ:%)
上位10銘柄までの保有割合は約38.9%、11-20位は約17.3%、上位20位までの保有割合が約56.2%となっています。
2021年時点でモメンタムのある銘柄の上位構成陣として選定された銘柄たちです。
テスラが1位というのも特徴的で納得感もありますが、モメンタム投資に興味のある方は、とくに個別銘柄のピックアップなどで参考になるのではないかとも思います。
現在の相場調整結果なども踏まえた次回11月のリバランス結果も気になるところです。

円グラフで見ると上位構成銘柄の保有割合はほどほどに高めですが、銘柄数は129銘柄と多くはありませんので、個人的にはさほど気にはなりません(時価総額×モメンタムスコアで加重される)。

参考に上位20位までの保有銘柄のセクター構成をグラフ化したものとなります。
いまは金融が上位構成銘柄の専有割合が高いですが、モメンタムで評価されるということは、都度変わることも十分に考えられます。
モメンタム(勢い)の強い、現在のセクターはどのセクターかという意味合いでも参考にはなるかとも思います。

MTUMのセクター構成(%)
ETF全体のセクター構成を表示したものです。
上位セクターが占める割合は2位の情報技術まで約49.6%(3位の資本財まで含めると約62.4%)となっています。

上位20銘柄が所属するセクターがやはり上位に位置していますが、昔ながら(オールドエコノミーと呼ばれるようなイメージの)のセクター保有割合は、このETFがモメンタムに追随することを考えると、必然的に低めになっているように見受けられます。
逆にディフェンシブなセクターETFを保有しているなどといった場合には、考えどころにもなるかもしれないなとも感じます。
参考に棒グラフ&レーダーチャートを掲載しておきますので、見やすい方で確認してください。

分配金の推移、増配率の推移
これ以降(グラフ表示も含めて)の分配金に関する表示はすべて米国課税(10%)および日本国内課税(20.315%)控除前の金額になりますので、ご注意ください。
一般的には表示されている金額の約71%が手元に入金されるイメージでお考えください。
確定申告で外国税額控除の手続きをすれば、米国課税(10%)部分をある程度、取り戻す事は可能ですが、自身の収入に応じて取り戻せる金額は異なります。
(証券会社によっては、分配金受け取りで強制的に円貨振替される場合、為替手数料などもかかることになると思われます)
注:MTUMは国内大手証券会社では取扱がありませんので、サクソバンク証券などを利用する必要があり、サクソバンク証券では円貨振替されることになります。
MTUM運用開始以降の分配金推移(一覧表)
MTUMは3/6/9/12月に分配金を受け取ることができます。
ETF設定以降の定例分配金を一覧表にしたものは以下のとおりです。
注:定例と位置づけられない(特に分配開始初期の四半期ごとなどと判断できなかった場合など、不定期に出されているとこちらで判断した)分配金を除外しています。
弊ブログ独自の集計であることをご了承お願いします。

MTUM運用開始以降の分配金推移(毎回受け取り分配金の推移)
株価と分配金(毎回)の推移は以下のとおりです。

分配金実績にはそれなりの凹凸が見受けられます。
どちらかというと分配金よりはキャピタル重視(分配金はおまけ程度)という認識のETFに捉えたほうが良さそうに考えます。
MTUM運用開始以降の分配金推移(年間受け取り分配金の推移)
1年間の分配金(年間合計)と、12月時点の株価を用いて表示しています。

2020年はかなりの減配が確認できます。
おまけ程度に考えようとは思いますが、今後の推移にも注目はしています。
MTUM用開始以降の株価と分配利回りの推移
株価$179.01(2021/10/8終値)と直近1年間の配当実績から算出した利回りは0.48%程度です。
注1:目安程度にお考えください。
注2:この分配金利回りは紹介記事作成時点の内容です。今後の最新の参考目安については、下の「増配率と分配金実績、株価と利回り推移2021年vs2020年」の欄に掲載し、随時更新をしていこうと考えています。

過去4回の分配金をもとに算出した推移では約1.0〜1.3%程度の分配利回り推移でしたが、2020年以降大幅に利回りが下がっています。
今後の動向には注目していこうと思います。
個人的には分配金の多少は(大幅に変更となりえる)、保有ポートフォリオの構成にもよるのでしょうから、一概に一定とは行かないように思えますから貰えれば嬉しいかな程度で捉えるようにしておきます。
MTUM運用開始以降の増配率推移(1年、3年、5年)
増配率を計算した結果、以下のようになりました。
注1:私的に計算した値となりますので、正確性を保証するものではありません。数値の妥当性については他サイトと比較していただくなど自身で別途、検証していただくようにお願いします。あくまで参考程度にご覧ください。
弊ブログ独自の集計であることをご了承お願いします。
2013年6月の分配金は$0.1969は(初期の不定期な分配金と評価し)除外して計算しています、ご了承ください。

参考に年合計の分配金と増配率の推移グラフを下に掲載しておきます。
(以下のグラフは弊ブログ独自の集計により算出した上側の増配率表をもとに作成しています。視認性を高めるため、初期の桁外れな値は枠外表示としていることがあります)
分配金年合計($)と1年増配率(%)

2020年は前年比約−27,6%の大幅減配でした。
2021年も期待はできませんが、2022年以降に注目はしていきたいと思います。
分配金年合計($)と3年増配率(%)

分配金年合計($)と5年増配率(%)

増配率と分配金実績、株価と利回り推移 2021年vs2020年 (2021年12月分配金後)
2021年と2020年を比較した増配率(%)と、各年の分配金実績を以下に掲載しています。
また、直近株価($)と分配金利回り(%)も参考に掲載しています。
注:とくに分配利回りは、ご自身で他サイトなどを含めて改めてご確認ください(あくまで参考目安程度にお考えください)

2021年は残念ながら大幅減配で着地となりました。
2021年12月現在はかなり低い水準で推移してきていますので(おまけ程度と個人的に期待していないとは言いつつも)、今後の推移には注目です。
個人的な感想

以前からETF自体は認識していましたが、先日「ウォール街のモメンタムウォーカー」という書籍を読み、興味が湧きました。
書籍によれば、1800年代から今日に至るまで、モメンタムは有効な戦略であることが様々な研究によって証明はされているようですが、効率的市場仮説などとは相反する考え方とも捉えられ、そこまで認知がされていないようでもあります。
モメンタムは最大のアノマリーとも言われているようですが、パフォーマンスの良い投資は良いパフォーマンスが続き、悪い場合はまた然り。
トレンドフォローはモメンタム投資の一形態とも捉えられ、上昇トレンドにある銘柄を素直に買うことも一案と解釈しました。
(バリュー投資のように割安銘柄を購入するのも一案でしょうが、ここは投資家の好み)
経済学が発展した行動経済学の観点から、さまざまな人の心理が巻き起こす行動についての研究が進んでいますが、モメンタムはまさに行動経済学とも密接に関連した投資手法とも言えそうです。
- アンカリング
- 確証バイアス
- 群れ行動
- 過剰反応
- ディスポジション効果 etc
株式投資では、価格が上がれが買い手をひきつけ(逆に価格が下がれば売り手を引きつけるともいう)、感情的で非合理的な動きをしてしまう投資家の心理が市場へ与える影響は甚大です。
このような感情の振り子が上に(ときには下に)行き過ぎるときもあるでしょうし、そういった投資家の行動は昔も今も(そしてこれからも)変わらないのだろうと個人的には思いますので、モメンタムはこれからも存在し続けるのではないでしょうか。
波に乗る、これも投資の醍醐味で、市場平均以上のリターンを求めるならリスクを引き受ける必要もありますが、将来性が期待できそうな(楽しんで投資できそうな)ETFという評価をわたしはしています。
時には大きく下振れという悪い波もあるかもしれませんが、経費率も0.15%と思ったほど高くなく、リスクを認識しつつ握力強く握った先の将来に期待が持てそうなETFと考えています。
(書籍でもボラティリティやドローダウンは、市場平均などと比較すると高めになることもあると書かれていますので、そういった点には注意が必要かと思うところです)
こういった目を引くETFは、残念ながら国内大手証券会社では投資できない現状です。
また、つい先日、特定口座に対応したサクソバンク証券でも、期待の特定口座では投資できません。
ですが、割り切って(勉強だと思って)サクソバンク証券の一般口座で、サテライト部分としてこれから投資をしていこうと思っています。
余談ではありますが、2018年にはバンガードも『Vanguard U.S. Momentum Factor ETF(ティッカー:VFMO)』を販売したようです。
それ以外にもモメンタムETFとしては、2017年に『JPMorgan US Momentum Factor ETF(ティッカー:JMOM)』や、さらに古いETFでは2012年に『SPDR S&P 1500 Momentum Tilt ETF(ティッカー:MMTM)』、2007年に『Invesco DWA Momentum ETF(ティッカー:PDP)』などもあるようです。
(いずれも国内大手証券会社では買えないという認識)
ですが、純資産総額では圧倒的にMTUMが多いので、わたしはMTUMで検討しています。
モメンタムETFに対する注目度も高まっているとも言えそうですが、どうでしょうか。
長期で運用、比較していきたい、面白いETFでした。
また、「ウォール街のモメンタムウォーカー」という書籍も興味深く、勉強になりますので、興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。
最後になりましたが、MTUMは前回(2021年5月)のポートフォリオリバランス時に、ニュースになるような大規模なポートフォリオ入れ替えを実施したようですね。
(外部リンク)1.7兆円ETF、ポートフォリオの68%今週組み替えへ-「驚異的」規模(Bloomberg)
2021年11月のリバランスはどのようになるのかを含め、今後の動向にも興味が尽きません。
この記事がなにかの参考になれば幸いです。
それではまたっ!!