こんにちは、おーです!
【2021年11月13日リライト】記事の内容を、終値closeベースでの表示に統一するとともに、日々の騰落率などの詳細情報も新たに見直し、追加しました。
わたしが気に入り、先般ご紹介したETF『 MTUM:iシェアーズ MSCI USA モメンタム ファクターETF』について、過去の月間上昇率などを参考に調べてみました。
ETFのご紹介記事はこちら
ただの参考ではありますが、過去どのような推移をしていたのか単純に知りたくなり、集計してみた結果を、せっかくなのでご紹介しておきます。
【2021年11月16日追記】
かなりの悲報です、2021年11月15日付けでサクソバンク証券の米国ETF取扱銘柄が大幅に制限されることになり、このような優良、興味深いETFはサクソバンク証券では購入できなくなりました。
【参考】MTUM(iシェアーズ MSCI USA モメンタム ファクターETF)の月間上昇率などを調べてみた
背景
現在読んでいる「アノマリー投資(パンローリング)」では、ダウやS&P500,ナスダック、ラッセル2000などを用いつつ、過去の膨大な実績を調査した結果から得られた色々な「アノマリー」が紹介されています。
このような本から興味を持ち、過去にご紹介したような個別のETFで調べてみたらどうなんだろう?というある種の実験といいますか、単純に自分なりに集計してみたらどんな結果になるのだろう、と思ったのがきっかけです。
また、わたしも日常、勉強させていただいておりますYou Tube『【投資塾】知らないより知っていた方が役立つ話』を運営されている「ゆうさん」の非常に優れた過去検証動画からも、様々な気付きやヒントをいただき、恐縮ですが一部参考にさせていただきながら、自分なりに集計をしてみました。
ゆうさんにはこの場をお借りしまして、日々新たな気付きや知識を頂いていることに御礼を申し上げます。
MTUM設定以降の株価推移
まずはMTUMが設定された2013年4月18日〜集計期間2021年11月3日までの株価上昇をグラフにしたものを掲載しておきます。
2013年4月18日約$50.9に対し、2021年11月3日約$193.8となっており、株価は8年半程度で約3.8倍となっています。
月間上昇率
月間上昇率:対象期間と調査方法
それでは月間上昇率から掲載してみます。
調査対象はMTUM設定(2013年4月16日)以降で、月間データによる算出が可能な期間のデータです。
対象期間 | 2013年5月〜2021年10月 |
---|---|
元データ | yahoo financeの終値closeから引用 |
調査内容① | 月別上昇率(当月終値÷前月末終値) |
調査内容② | プラスで終了した月の回数(if関数0以上をカウント) |
調査内容③ | 月別の勝率(プラス終了回数÷カウント総回数) |
調査内容④ | 最大上昇率(MAX関数で月別&年別最大上昇を表示) |
調査内容⑤ | 最大下落率(MIN関数で月別&年別の最大下落を表示) |
注:上記を集約し一覧表とグラフで掲載しています。
全てを細かくご紹介はしているとキリがありませんので詳細は割愛しますが、わたしが感じたポイントなどは時折、抜粋してご紹介しています。
気になる内容があればご自身で再計算や再検証、さらに深堀りされてみるのもいかがでしょうか。
俯瞰して眺めてみることでなにか得られれば幸いです。
月間上昇率 調査内容①:月別上昇率

一覧表で見てもごちゃついて分かりづらいと思いますので、グラフ推移を以下、ご紹介させていただきます。
各年の月別上昇率をまとめたグラフは以下のとおりです。
注:各月の最大上昇率を青色で、最大下落率を赤色で表示

一覧表とグラフを確認しての見方、感じ方は人によって違うかと思いますが、わたしがポイントとして感じた点は以下のようなところです。
- 1月、2月は(2020年のまれに発生するコロナショックによる下落を除外するなら)、平均しての上昇率は高めではないが、プラス推移といった印象
- 3月は下落で終了することが多く、冴えない印象
- 4月パフォーマンスは思っていたより悪い印象(直近2年は高い)
- 5月は堅調な推移の傾向(MTUMリバランス5月の影響か?)
- 6月、8月は(俗に言うアノマリー的には相場が悪そうだが)、下落で終了する回数が多いとも言えない
- 7月は6月、8月に挟まれている中では非常に堅調な推移
- 9月は悪い印象(下落回数、下落率も高め)
- 10月は上下にブレやすい印象
- 11月はほぼ下落なしの上昇基調(MTUMリバランス時期)
- 12月はパフォーマンス低め
2月、3月はコロナショックによる下落が大きかったので、当月の計算上に影響が大きかったですが、直近では例年さほど冴えない時期というのも確認できました。
4月は市場が堅調という認識でしたが、MTUMとしてはさほどそうでもないというのが確認してみて分かりました。
9月は例年相場が軟調ですが、やはりこちらでもパフォーマンスは冴えません。
逆に7月、11月は総じて上昇で終了していることが多いことも分かりました。
それ以外は月単位で見ると、事前の予想では夏場(6月や8月)が悪そうにも思っていましたが、そうでもなかったかな?というのも印象的でした。
11月リバランスの影響でパフォーマンスは改善傾向になるのかと勝手に想像していましたが、12月が思ったより低いのも個人的には意外でしたね。
月間上昇率 調査内容②&③:プラスで終了した月の回数&月間別の勝率

注:上昇率1位をピンク色、2位を水色、3位を黄色で表示
- 7月がプラス推移で終了する回数が一番多い
- 次いで第2位が5月、11月、第3位が6月、8月、10月
- 勝率は1位7月、2位11月、3位5月(4位が6月、8月、10月)
- 3月が回数、勝率が一番低い(次いで9月)
7月の勝率が高く、リバランス時期5月、11月も高いことが確認できました。
夏頃の6月、8月も上昇率は冴えなくても、プラス推移回数と勝率では好成績でした、夏枯れ相場をあまり感じさせない推移にも感じられ、これも意外です。
また、一番相場が調整しそうな9月より3月のほうがプラス終了回数、勝率が低めなのも新たな発見でした。
月間上昇率 調査内容④:最大上昇率(月別&年別)

注:上昇率1位をピンク色、2位を水色、3位を黄色で表示
- 月間上昇率1位は4月(コロナショック後の2020年)、2位11月(2020年)、3位8月(2020年)
- 年別の月間上昇率は1位2020年(4月)、2位2021年(10月)、3位2018年(1月)
月間上昇率は1位〜3位まで全て2020年、コロナショックからの復調が非常に著しかったことが確認できました。
ここでも9月、12月の最大上昇率が冴えないことが確認できます。
2018年1月も上昇が大きかったですが、年間で見ると10月と12月の2回大きく下落したことで、年推移ではマイナスとなっています。
調査期間は直近の2021年10月までとしていますが、年別の月間上昇率でみると2021年10月もリターンが高かったですが、これは9月下旬に下げて終了したあとの計測タイミングもありそうです。
月間上昇率 調査内容⑤:最大下落率(月別&年別)

注:上昇率1位をピンク色、2位を水色、3位を黄色で表示
- 月間下落率1位は3月(コロナショック後の2020年)、2位10月(2018年)、3位12月(2018年)
- 年別の月間下落率は1位2020年(3月)、2位2018年(10月)、3位2015年(8月)
MTUM設定以降では、2020年のコロナショックが最大の下落だったことが分かります。
続いて2018年10月、2018年12月(貿易摩擦や長期金利の上昇などの要因によると思われる)下落、4位にはコロナショック2月時の下落と続きます。
年別の下落でみると第3位は2015年8月でした。
まだ投資をはじめていませんでしたが、チャイナ・ショックと思われる下落ではないかと思われます。
年間上昇率
続いて年間上昇率(当年最終日のと前年最終日の終値から算出)について、年別の推移を確認してみます。
年間上昇率 対象期間と調査方法
調査対象はMTUMの設定(2013年4月16日)以降、かつ「年間上昇率」に関する取得可能な期間のデータです。
対象期間 | 2014年〜2020年 |
---|---|
元データ | yahoo financeの終値closeから引用 |
調査内容① | 年別上昇率(当年最終日終値÷前年最終日終値) |
調査内容② | 年平均上昇率(1〜12月合計÷12)で平均を算出 |
年間上昇率 調査内容①&②:年別上昇率

注:最大上昇率を青色で、最大下落率を赤色で表示
- 2017年は例年にない凪相場で、一番上昇率が高かった
- 次いで2020年が2位(コロナショック下落後の上昇)、2019年が3位
- 2018年は月間で見ると10月に約-9.9%、12月に-7.9%の大きめな下落が立て続けに2回発生し、年間の上昇率ではマイナス
2013年は4月以降のデータですので、年間上昇率は掲載していません。
また、2013年の年平均上昇率は、4月以降の計算となっています。
年別を全体的に見ると、近年の上昇率が高いことが確認できる結果となりました。
日々騰落率
ここからは、日々の騰落率をもとに算出したグラフとなります。
グラフ数などが多いのでそれぞれに個別メモなどは掲載していません、ご了承ください。
人によって見方は異なるでしょうし、気になるポイントだけでもなにかの気付きがあれば幸いです。
MTUM設定以降の株価と日々騰落率の推移
一番最初にご紹介した株価推移に、日々の騰落率を追加したグラフは以下のとおりです。

MTUM設定以降、変動が顕著に大きかったのは2020年のコロナショック時ということが確認できます。
コロナショック時期を除く日々の騰落率では、平時最大はおおむね±5%程度といったところでしょうか。
日々騰落率 対象期間と調査方法
調査対象はMTUMの設定(2013年4月16日)以降、かつ「日々騰落率」に関する計算できる期間のデータです。
対象期間 | 2013年4月19日〜2021年11月3日(注) |
---|---|
元データ | yahoo financeの終値closeから引用 |
調査内容① | 日々騰落率(当日終値÷前日終値) |
調査内容② | 月別にプラスで終了した日の回数(if関数0以上をカウント) |
調査内容③ | 月別の勝率(プラス終了日の回数÷月トレード総回数) |
調査内容④ | 最大上昇率(MAX関数で月別&年別最大上昇を表示) |
調査内容⑤ | 最大下落率(MIN関数で月別&年別の最大下落を表示) |
調査内容⑥ | 平均変動率(日々騰落率合計÷月トレード総回数)で平均を算出 |
注:2013年4月の中途半端な日数に対する推移グラフは省略
これ以降、「月単位」と「年単位」でグラフをまとめています。
いずれかの見やすいグラフを確認していただければと思います。
これ以降、細かなデータのご紹介は割愛しますが、これらの比較データが何かの参考になれば幸いです。
日々騰落率 1月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 2月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 3月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 4月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている(2013年は運用開始4月19日以降のデータ)

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 5月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 6月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 7月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 8月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 9月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 10月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 11月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。
注:2021年に関する表示を太線としている(2021年は11月19日までのデータ)

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

日々騰落率 12月データ
騰落率集計表

騰落率推移グラグ(年別)
毎年の推移を年別で表示しています。

騰落率推移グラグ(並列表示)
上記(毎年の推移を年別で表示)に対し、毎年の推移を並列で表示しています。

プラス終了回数、勝率、最大上昇率、最大下落率、平均変動率

【参考】各年の株価と騰落率推移グラフ
最後に年単位での株価と日々騰落率の推移グラフを参考に掲載しておきます。
4年スパン程度で区切って掲載させていただきます。
グラフ右に表示させている騰落率%は、年に応じて値が異なっていますのでご注意ください。
(例えばコロナショック時の2020年が小さめの変動にみえるかもしれませんが、表示されている数値は他の年より大きな数値となっています)
2013年〜2016年の株価と騰落率推移グラフ

2017年〜2020年の株価と騰落率推移グラフ

2021年11月3日までの株価と騰落率推移グラフ

個人的な感想

今回、改めて自分なりに集計してみて、長い目で見れば活用できそうな集約ができました。
それなりに特徴がイメージできたような気もして、集約に時間はかかりましたが、まとめてみて良かったなと感じます。
例えばあくまでイメージですが、
- MTUMなら少し多めに資金を入れるタイミングとしては、3月や9月、10月、12月というのは一考の価値もあるかもしれない
- もしくは毎月積み立てをしつつ、タイミングを考慮するならこれらの時期も一案か
- 9月、12月は勝率が五分五分なのに、上昇率は低めで他月と比べて相対的にパフォーマンスが冴えないから、これらの月はそこまで期待してもしょうがないかな(下落時は買い増しもありかな)
- セルインメイと言われる5月も思ったより悪くない、リバランスの影響が大きいのかな
- 7月、11月はプラス推移が多く、比較的堅調だから(市場を警戒はしつつも)それなり安心していられる時期かな
- 8月の夏枯れ時期にも様子を見ていればチャンスがあるかな
みたいな捉え方ができるかもしれません。
別に過去の傾向が未来にかけても投影される、影響を及ぼすなどということを心底信じているわけではありません。
長期投資へは力強い握力が必要になりますし、このようなデータでも集約・把握しておくことで(知らないより知っておけば)、心持ち含めて何かの役にたちそうな気もします。
他のETFについても、また少しずつ見てみると面白いかもしれません。
MTUMは2021年5月のポートフォリオリバランス時に、ニュースになるような大規模なポートフォリオ入れ替えを実施したようですね。
(外部リンク)1.7兆円ETF、ポートフォリオの68%今週組み替えへ-「驚異的」規模(Bloomberg)
11月のリバランスはどのようになるのかを含め、今後の動向にも興味が尽きません。
この記事がなにかの参考になれば幸いです。
それではまたっ!!