こんにちは、おーです!
本日は「公的・企業年金運用会社の元社長が教える波乱相場を〈黄金のシナリオ〉に変える資産運用法 かんたんすぎてすみません。」という本の感想をご紹介させていただきます。
- これから投資を始めようと考えているかた
- わたしのように投資を少しかじった初心者(知識を固めるために)
- 投資中級者以上のかた(知識の再整理などに)
個人的には、上記のような様々なかたに学びのある一冊ではないかと思います。
【感想】公的・企業年金運用会社の元社長が教える波乱相場を〈黄金のシナリオ〉に変える資産運用法 かんたんすぎてすみません。
著者のご紹介
本書は平成28年(2016年)4月27日に第1刷発行された本となります。
著者は岡本 和久(おかもと かずひさ)氏です。
米国コロンビア大学留学後、1971年、慶應義塾大学経済学部を卒業され、日興証券株式会社へ入社、ニューヨーク現地法人、情報部などで証券アナリスト・ストラテジスト業務に従事された経歴をお持ちです。
1992年に同社を退社後はバークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック・グローバル・インベスターズ)日本法人を設立、2005年まで13年間代表取締役社長として年金運用業務に携わり、その後は個人投資家向け投資セミナーを行うI-Oウェルス・アドバイザーズ株式を設立、代表取締役社長として各種セミナーなどを開催されています。
という、とにかく凄い経歴をお持ちのかたが書かれた本となります。
投資の最前線であるアメリカで学び、日本に戻られた岡本氏は、日本における個人の資産運用は、やはり海外と比べて遅れていると強く感じられたようです。
日本人にとっても人生を通じて資産運用を行うことの必要性を強く感じたこともあり、少しでもこの状況を改善できないか、自分の得てきた知識をなんとか広められないだろうかと考え、本書にまとめられています。
全体を通じて
本書全体を通じて学びの多い本ですが、全てを記載することはできませんので、ざっくり感想をご紹介させていただきます。
投資に取り組むうえで必要となる知識を「投資開始前〜取り崩しまですべて網羅的に」紹介されている本です。
- 株式会社の仕組みと株式・債券の本質といった基礎知識
- 投資信託の基礎知識
- 投資を成功させるために知っておきたい知識(複利の力を知り、時間と複利を味方につける)
- 投資を成功させるために知っておきたい知識(リスクとリターンを知り、コントロールできることに集中する)
- アセット・ロケーションで資産を効率的な場所で育てる考え方
- 投資方針書の具体的な作成例
- バリュー平均法という買付方法の紹介
などなど、初心者(これから投資をはじめる人、すでに取り組んでいる人)など、体系的に知識を得ることができます。
すでに投資をはじめているかたでも改めて学びが多いと思います。
①株式会社の仕組みと株式・債券の本質といった基礎知識
そもそも株式ってなに?株式会社ってなに?
といったような基本的なことから、株式や債券の持つ特徴(強みなど)もわかりやすいたとえ話を用いて紹介されています。
とくにコロナショック後の金融緩和状態にある現在(2021年5月)、今後懸念されるインフレの可能性などを考慮すると、インフレすればなにがどうなるのか、株式などとインフレやデフレの関係性といったようなことも、初心者にもわかりやすく書かれていますので、非常に勉強になると思います。
②投資信託の基礎知識
そもそも投資信託とは?投資信託を選ぶうえで気をつけたほうがいいポイントは?
といった投資信託選定の視点や注意事項などが簡潔に説明されています。
とくに投資をはじめようと考えているかたには参考になる内容だと思います。
③投資を成功させるために知っておきたい知識(複利の力を知り、時間と複利を味方につける)
わたしたちのような個人投資家は機関投資家と違い、資産を圧倒的に長期間、保有することができます。
機関投資家は限られた短い期間内で顧客が利益を得られるよう、一定の成果を求められますが、わたしたち個人投資家は以下のように取り組むことができます。
- 短期ではなく、もっともっと長い視点で取り組みが可能
- 自分の目的に応じた期間(例えば老後に向けた資産形成といった視点)で柔軟に取り組みが可能
- 購入した資産を長期に保有することで複利の恩恵を受けることが可能 など
とくに、長期間保有することによってすごい威力を発揮してくれる複利がどう働いてくれるのか、その結果、資産がどのように増えていくことが期待できるのか、などが紹介されています。
長期投資をはじめるかた、現在すでに取り組んでいるかたも含め、モチベーション維持につながるのではないかと思います。
④投資を成功させるために知っておきたい知識(リスクとリターンを知り、コントロールできることに集中する)
投資をする以上、リターンを求めることは必然ですが、リターンは”コントロールできない最たるもの”であることを知っておく必要があります。
いくら欲しいと思ってもコントロールできないのがリターンですので、”コントロールできないことではなく、コントロールできることに注意を向けていく”必要があります。
そのためには基本的な取り組み(抜粋)として、以下のような点に注意が必要とされています。
- 分散投資でリスクをコントロール(リスクとはなにか、リスクにも報われるリスクと報われないリスクがあると知っておく)
- アセットアロケーション(株式と債券の比率)が重要
- 経費率などの手数料に気をつける
投資をする以上、リスクは完全に消し去ることはできません。
分散投資をしないことで付与されるリスクと、分散投資をすることで一部消し去ることができるリスクがあることなどを、わかりやすく紹介されています。
このことを念頭に置きつつインデックス投資をすることで、インデックス投資の優れた点などを信じて投資できるのではないかと個人的には思いました。
また、本書でもアセットアロケーションはやはり重要だとされています。
自身でリスクコントロールしつつ集中投資されているかたは問題ないと思いますが、誰かに薦められて買っているなどといったかたは、一度ご自身の資産を点検をされてみるのもいいと思います。
経費率などのコストは投資信託などに投資をしていく以上、切っても切れない関係にあります。
コストについては自身で銘柄選択や証券会社を選択することなどで、ある程度コントロールできますので、そういった点を検討することも重要です。
類似商品でコストが安い商品があるのに知らずに払っている割高なコストが、将来どれだけ自分の資産増加を蝕むか、知っていればある程度防げることでもあります。
このようなことを考えることを面倒に思わず、搾取されないためにも基礎知識を仕入れておいたほうが無難ではないかと思います。
⑤アセット・ロケーションで資産を効率的な場所で育てる考え方
口座(特定口座や非課税口座)の特性をしりつつ、税制上有利な口座に適切な資産を配分したほうが投資効率は高めることができるため、それぞれの特徴を知りつつ、どんな資産をどこの口座で運用するかも考えていく必要があります。
一部、最新の制度を踏まえた記載ではない(つみたてNISA制度がはじまる頃の本ですので)ですが、考え方はいまも変わらず有効ではないかと思います。
⑥投資方針書の具体的な作成例なども紹介されている
長期投資をしていくにあたり、その場しのぎの対応にならないよう作っておいたほうがよいとされる自身の”投資方針書”について、あまり他の本で見受けられない内容を、本書では具体的にどのような点を踏まえて作ればいいか、具体例を交え詳細な記載方法を含め紹介されています。
どのように投資に取り組んでいくのか考え方を検討中のかたは、頭の整理も含め参考になる内容が多いと思います。
⑦バリュー平均法という買付方法の紹介
慣れない初心者のかたなどにはおすすめしませんが、ある程度、投資に慣れているかたで投資信託での運用を退屈に思われているかたなどは、著者が本書でも紹介されている「バリュー平均法」という方法を用いた買付方法を検討してみるのもありかと思います。
長くなるので具体的な紹介は割愛しますが(Googleなどで検索するとすぐにヒットします)、買付金額を簡単な数式を用いて自身で計算して、定期的に自身で投資(買付)する取り組み手法です。
ドルコスト平均法の投資目標・・・予定した期間に予定した金額を確実に投資する(=視点は投資資金の総額を目標)
バリュー平均法の投資目標・・・予定した時期までにいくらの”時価残高”を達成するかという視点で投資する
淡々と積み立てるドルコスト平均法とは異なる投資手法で、ドルコスト平均法を高度化させた内容として紹介されています。
退屈(にも感じてしまう)長期投資の継続と自身のスキルアップ、リターンを高めたいなど、興味のあるかたは一度「バリュー平均法」も調べてみられてはいかがでしょうか。
個人的な感想(生涯で避けては通れない知識)

わたしたちはこれからを健康的で将来に不安少なく、長く、楽しく生きるために、人生を通じてお金、資産運用と向き合うことが必要な時代を生きていると認識を強くしています。
この本では、人生は3つの時代と捉えることができると紹介されています。
- 人間関係や人格を形成する「学びの時代」
- 人的資産を活用して金融資産に変換する時代「働きの時代」
- 構築した金融資産を活用していきざまを形成する「遊びの時代」
遊びの時代というと聞こえが悪いかもしれませんが、自身の築いた資産を利用した余暇を楽しんだり、後世に向けた残したい何かを継承する取り組みに活用するなど、次世代につなげる生き方を新たに模索するステージともいえます。
そう考えると一つの人生の終盤が新しい人生のはじまりに貢献しているという捉え方もできます。
若いときは「資産形成期」、歳をとってきたら「資産活用期」。
ということは結局、人生を通じてお金と付き合っていく必要がありますので、お金に関して無知ではいられません。
よく「いまの自分から未来の自分への仕送り」といった表現をすることがありますが、この表現が思い出されます。
わたしたちは結局、お金の勉強を避けて通ることができないのではないかと最近よく思います。
人生を通じてお金を使い、お金と末永く付き合っていくためには、資産を形成することにはじまり、資産を有効に(自分のため、後世のため)使っていくことを、人生を通じて行っていく必要があるということに気付かされます。
また、本書は投資を一環して体系的に考え方が学べる一冊として、リバランス(メンテナンス)や将来の取り崩し方法なども紹介されています。
まさに投資の基礎知識〜実践〜メンテナンス〜資産活用まで全体を網羅して学ぶことができ、お金について考えさせられる一冊だと思います。
興味のあるかたは是非、読んでみられてはいかがでしょうか。
この記事がなにかの参考になれば幸いです。
それではまたっ!!